鴎の忘備録

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 「夢中ビオロン協奏曲」voj.4


 「夢中ビオロン協奏曲」voj.4
 
「私は札幌の音楽学校を卒業した後、アメリカの
セントイリノイラ音楽院に進み、作曲の勉強を
続けました。これがその時の写真です。
ごらんになりますか」
 
 女性は分厚いアルバムを押し出す。
 
 ちゅうちょしていると、女性はアルバムを開き、
一枚の写真を指さした。
 
 それには、見るからに音楽家の卵といった風貌の
若者たちが写っている。
 そして、彼らに混じり、目の前の女性とおぼしき人物が、
ヴァイオリンのケースを抱えて微笑んでいた。
 
 
「セントイリノイラ音楽院では、卒業する時に記念制作
としてレコードを作るのです。その年は私が最も優秀な
生徒でした。それで、私の作曲したヴァイオリンコンチェルトが、
レコード録音として永久に保存されることになりましたの。
オーケストラは、セントイリノイラの学生オーケストラですが、
ヴァイオリンは、かの有名な、アイザック・スターンの演奏です」
 
 
 
 嘘をつけ・・・そう思ったが、それっきり女性も青年も押し黙り、
目をつぶって曲に聴きいっているので、しょうがなく、
そのいわく付きのコンチェルトを聴いていた。
              
 
            seagull.t