鴎の忘備録

エッセイとか・・・日記とか・・・・

「おもいでアルバム」 その二 

「落とし穴」

 

小学校3年生の冬のことである。

いつものように近所の友達5人くらいで遊んでいた。

少し年が上の男子が、お墓の後ろを探検しようと言い出した。

 

そのころの私は、かけっこも、逆上がりもびりっかす。

いやとは言えずについていった。

 

家の近くには、お寺が三軒並び、その後ろには

それぞれの檀家さんのお墓がたっていた。

 

幼い弟がいるので、陽が暮れてからのお使いは

いつも私の仕事。

泣きそうになるのを堪えながら、この道を走って

家に帰りついたものである。

 

 

雪解けが真近な季節。

お墓の後ろの道ならぬ道を、皆でふざけながら通り過ぎた。

 

バシャッという音とともに私の身体は深い穴に落ちた。

 

立ち上がったが、穴の入り口は子供の背丈をはるかに超えていた。

 

大声で泣き叫ぶ私に気が付き、戻ってきた友達は

それぞれ手をのばしてくれた。

しかし、穴の深さはそうとうなものだった。

 

恐ろしくなったのであろう子供たちは、穴に私を置き去りにして逃げた。

 

穴は横に長く続いていた。

木の根が穴の上からぶら下がり、

雪の滴がポタポタと落ちて、お化けを連想した。

 

冬の間は、姿を見せない蛇が奥に潜んでいたらどうしよう。

さらに、恐ろしい考えが頭を過ぎる。

 

泣き疲れて濡れた地面に座った。何時位たったであろうか。

帰りの遅い私を心配した母が友達から聞き出し

梯子をもって駆け付けてくれた。

 

梯子を下りて抱きかかえてくれたのは、

近所のおじさんだったことも覚えている。

 

その日から3日ほど、私は学校を休んだ。

 

もちろん子供たちは、二度とその場所には近寄らなかった。

その穴はいったい何の穴であったのだろうか・・・


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