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鴎の忘備録

エッセイとか・・・日記とか・・・・

   「雨のうた」 vol.5

エッセイ

   「雨のうた」vol.5

イタリアバロックのヴィバルディ、「四季」の一曲目、

「春」の中の雨のシーンも嵐だった。

「そぼふる」雨では、ない。

私の貧弱な知識ではバロック時代から検索するのは

諦めた方が、賢明なようだ。


仕方がないので、また現代に近付いてみることにした。


印象派の作曲家たちに想いを馳せてみる。

音楽家というよりは、ミンストレルと呼ぶに

ふさわしい彼らなら、優しく降る雨に

ぴったりに違いないと、期待する。


全音音階を駆使した魅惑的な和声で知られる

ドビュッシー


彼は「映像」の中で、「雨の庭」という曲

を書いている。

中間部のスタッカートの乾いた音は、

南仏の低い湿度の空気によく似合う、雨粒。

敷き詰められた石畳の間から顔をのぞかせる、

背の低い草花が、待ち望んでいた惠。

白い壁に跳ね返って散る、水。


雨の似合う作曲家はやはり印象派ね。


音の魔術師、ラベルもきっと何か作曲しているはず。


思考がリズムにのり始めたころ、列車は目的地に着いた。


買い物袋をぶら下げて駅をでると、雨はすっかり止んでいた。


雲は白く切れ切れになり、隙間から青い空がのぞき、

日が差し始めていた。

濡れたアスファルトが涼しそうに光っている。

 

晴れた空、そよぐ風。

思わず口をついて歌がでた。

格好をつけてみても・・・

 

ひとり笑いながら、家路にむかったある日。


   

    vol.5  seagull.t