鴎の忘備録

エッセイとか・・・日記とか・・・・

おもいでアルバム その三 母の日に

「思い出アルバム」 その三 母の日に


幼い頃の不思議な思い出は、
ほんの少しのフィクションがプラスされて、
心の底に仕舞い込まれている。

何かを見かけた時、何かを耳にした時、
その欠片が顔を覗かせる。

拙い文章だが、折に触れて書き綴っていきたい。

 


その三は、亡き母との思い出の一片にしたいと思う。


 
私が小学1年の夏の話。
星のきれいな夜に母と二人で何かの用で外出をした時の事である。

「誰かが足を引っ張っている」と母は言った。

振り向いても誰もいない。
二人はまた歩きだした。

「やっぱり誰かが足をひっぱる」

母の顔は夜目にも引きつって見えた。


座りこんでしまった母を、幼い私はどうすることも出来ずに

只々見ているだけであった。


何かに後ろへ引きずられるのを堪えながら歩き出す母。


次第に怖さを感じ出した私は、母の手にしがみつきながら歩いた。


その時間はかなり長く感じた。

やっと家に着いた。


30分も経たぬうちに届いた訃報。

 

母のすぐ下の妹の死の報せであった。

すべてが理解できた、小さな私にも。


この世には説明のつかない魂の出来事を

目の当りにしたあの日であった。

 


前にも書いたが、又今年もこの季節になると思い出す。


桜の季に逝ってしまった母。

はやすぎる母の死であった。


どこか行って観たいところはある?


ほしいものはある?

 

今なら何でも聞いてあげることが出来るのに・・・

 


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