鴎の忘備録

エッセイとか・・・日記とか・・・・

 「思い出アルバム」 その四 誰だったの?

「思い出アルバム」 その四 誰だったの?

 

このところ暑い日が続いている。

しかも、からりとした暑さではない。

ムシムシとした、まるで梅雨のような湿度と気温に

身体が思うように動かず、気分もなんとなくどんより!!!


ぼんやりとした頭でふと思い出した。

 

誰かが窓から這うようにして入りこもうとしている。

寝ている私のほうへ手を伸ばし、掴もうと必死になっている。


逃げようともしない自分を不思議に思いながら、それを見ている

自分がいる。

恐ろしいとも思わない自分をも変だ、と感じている

自分もいる。

もちろん、それは夢の中の出来事であった。


あれは誰だったのだろう・・・

 


目を覚まして居間へ降りた私は、またしても不思議な空気を感じ、

夢の続きならそれもありか、といつもように行動しようとした。


それにしても、よそよそしい母の言動に

何かを思い出さなくては、と質問をする前に考えた。

ふと思い当たる事といえば、父・・・


肝臓病で入院していた。

しかし、そんなに急な変化があったのだろうか。

「この暑さを通り越せば、楽になるなあ」

二日ほど前にした父との会話である。

 

冷静さを繕いながら、母が口を開いた。


「お父さんが・・・」


後の言葉は私が取った。

「死んだ?」

母は頷いた。


驚きと悲しみで、二人は黙って頷きあったまま、その場に

しばし立ち尽くした。

 

 

夢の中の人は父だったのだろうか?

 


他人に話しても、信じてもらえない出来事があることを

知った日であった。